技術コラム

VectorScope®

製造状態を可視化し、改善に導く革新的データ解析ソリューション

「製造状態」という新たな評価指標

現場に蓄積されたビッグデータを有効活用

近年、多くの業界でビッグデータの活用が進み、大きな成果を上げています。しかし、製造現場においては、これまでセンサーやDCSを介して蓄積されたデータを断片的な形でしか利用していませんでした。
そのため製造状態を総合的に把握することができず、品質や歩留まりにバラツキが起きていました。
そこで当社で、製造現場に蓄積されたビッグデータを、独自の総合的評価指標を用いて解析するソリューション技術「VectorScope®」を開発しました。

合成ベクトル指標で製造状態を可視化

VectorScope®は、製造現場が抱えている課題を解決するための方向性(=ベクトル)を指し示す(=スコープ)、製造状態可視化手法です。
製造条件には、原料性状、運転操作、気温・湿度などさまざまなものがありますが、その中の何がどのくらいの影響を及ぼしているかを特定するのは容易ではありません。
そこで、これらのデータを生産ロットごとに一つの合成ベクトルに集約し、それを分布図にプロットします。このプロットを実際の品質検査結果と照らし合わせることで、どのような製造状態のロットが良好だったかが見えてきます。
そして、その製造状態を生み出した温度や圧力などの条件を調べ、実際の製造プロセスに反映させます。これにより、不良発生の減少や品質の向上を図ることができ、さらにプロセスの改善を図るなど、ベストな方向性を見定めて具体的なアクションを起こすことが可能になります。
実際、VectorScope®を導入されたフィルム工場では、それまで30%を超えていた製品不良率を3%程度まで低減させることに成功しました。
この解析手法は、その先進性が認められ特許を取得しています。

VectorScopeによる品質安定化取り進め手法

手作業主体の現場にも使える万能手法

当社では、VectorScope®で過去のデータを解析するだけでなく、リアルタイムで製造状態をモニタリングして改善へのフィードバックを早めるオンラインシステムも構築中です。また、クラウドサーバを利用して、より便利にデータを解析できる仕組み作りにも取り組んでいます。VectorScope®は化学工場のみならず、製造データが蓄積される製造現場なら、どこでも適用できます。手作業主体の現場を含め、この解析ソリューション技術をさらに多くの現場に普及させていければと思います。

本手法のデータ解析適用取り組み例

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