技術コラム

連載:リアルハプティクスⓇ 
第4回「力触覚の展望」

ロボットがモノの感触を感じながら力を加減するために

リアルハプティクスⓇの技術は、遠隔操作や自動化だけでなく、人による手作業の可視化やデータ化・分析、仮想空間における感触再現(VR)などにも応用することができます。

第3回「力触覚の技術」をお読みいただきありがとうございました。本日は最終回として、今後の展望を見てまいります。

製造業における労働力不足

少子高齢化により2050年には2千万人以上の労働力が不足すると予測されています。

経済産業省が毎年公表する製造業を対象とした企業アンケート(直近の有効回答3,557社)令和4年度「製造基盤技術実態等調査 我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」において、国内の生産拠点を維持・拡大するために重視する立地要因として第1位に挙げられたのは「工場労働者の確保」が39.7%で、2位の「原材料費」21.8%を大きく上回りました。
また3位にも「高度技術者、熟練技能者の確保」が17.7%で続くなど、人手不足や技術者・熟練技能者の不足を大きな課題とする企業は57%を超えました。(※1)
製造業における人材確保は今や原材料費やエネルギーコストよりも大きな課題です。回答企業の約半数が人材確保のための企業行動を実施しており、まさに経営の柱と位置付けられています。(※1)

また長時間の単純作業や労働環境によるミス、「5K」と言われる作業はあらゆる産業から無くすことが目標として掲げられています。
前出の調査でも競争力の源泉として「生産技術・生産管理・品質管理」が最も重要であると回答した企業は全体の37%にも上りました。品質管理と労働環境は密接な関係にあるため、一元的に改善を進める企業は多いようです。(※1)

リアルハプティクスⓇの強み・展望

製造現場の課題解決でリアルハプティクスⓇの強みはどのように発揮されるのか整理してみます。
・今まで自動化できなかった産業ロボットの分野をカバーし「工場労働者の確保」に寄与します
・人のスキルの自動化と熟練の技の再現により「高度技術者・熟練技能者の確保」を支えます
・競争力の源泉として「生産技術・生産管理・品質管理」を向上させます

人は五感を使い細やかな作業ができますが、それは人と対象物が感触を伝え合い相互に制御しあうことで実現しています。聴覚や視覚はセンサーの開発が進み、人の五感に代わる技術が生まれています。しかし力感と触覚「力触覚」の伝送には作用と反作用の情報をリアルタイムに再現することが必須で、センシングの開発は難しいものでした。

リアルハプティクスⓇがこれらを解決しロボットに器用な動きが加われば、産業界においてはさらに難しいことを・日常生活においてはさらに人の近くで、ロボットは活躍するでしょう。
リアルハプティクスⓇは産業・ビジネスのみならず、生活・福祉など様々なシーンで広くWell-beingを実現するためのコアとなる技術なのです。

三菱ケミカルエンジニアリングは、リアルハプティクスⓇの要素技術を使ったアプリケーションの開発や力触覚を搭載したロボットを活用して、製造業の課題解決・競争力の強化を支えてまいります。事業化モデルや応用先など、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお問い合わせください。

注釈

※1 令和4年度 製造基盤技術実態等調査 我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000060.pdf

お読みいただきありがとうございました

本連載をお読みいただきありがとうございました。当サイトでは、リアルハプティクスⓇだけでなく、DX・IT・メタバース・自動化ロボティクス・脱炭素に向けた取り組みなど、今後も幅広く紹介してまいります。ぜひご覧ください。

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