技術コラム

連載:メタバースと製造現場 
第1回「メタバースの活動空間」

メタバースによる製造業のデジタル化・自動化ロボティクス・脱炭素の推進に向けて

製造業のデジタル化・自動化ロボティクス・脱炭素に向けた強力なツールとして、メタバースの活用が始まっています。本コラムでは3回連載で、製造現場とメタバースの相性や期待できることなどを見てまいります。


メタバースという言葉は、高次元や超越の 「メタ」 と、宇宙や世界の 「ユニバース」 を掛け合わせた造語で、1992年にニール・スティーヴンスンのSF小説 「スノウ・クラッシュ」 で初めて登場しました。それから30年、メタバースはエンターテインメントの世界でいち早く多くのユーザーを獲得しました。(※1

 ゲームをプレーしたり、音楽ライブやイベントに参加したり、旅行やショッピング、また出会いやコミュニケーションの場としても多くのサービスが提供されているメタバース。ゲーム界プレイトレンドの基点とも言われるMinecraft®マインクラフト) をはじめ、FORTNITE®(フォートナイト)、あつまれどうぶつの森® など、有名なタイトルが名を連ねています。

ネット上に利用者が集い、これらのサービスが提供される仮想空間とは、どういったものなのでしょうか。

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メタバースならではの活動空間

① 大日本印刷とAKIBA観光協議会は 「バーチャル秋葉原」 を2022年4月にオープンしました。
現実の秋葉原と仮想空間の秋葉原を融合させた新しい街です。ここではアニメ・コミック・ゲームなど秋葉原ならではの文化を満喫し、街中でゲームに参加したりショッピングを楽しむことができます。(※2)

② TOPPANグループは、美術品を忠実に再現したデジタル作品の美術展を、メタバース上で開催しました。
参加者は作品を鑑賞しながら専門家の解説を聞いたり、参加者どうし交流しながら美術館内を見て回ることができます。この美術館には美術品を覆うガラスケースはなく、拡大しあらゆる角度から鑑賞することができます。(※3)

このようなメタバースの活動空間は、空想の世界とは限りません。現実に存在する建物・施設や街並み を忠実に再現した空間も多く、この再現モデルが 「デジタルツイン」 です。

メタバースとデジタルツイン

メタバースを語るうえで、欠かせないのがデジタルツイン技術 です。メタバースとデジタルツインは完全なイコールではありませんが、非常に近い関係にあります。メタバースは3次元の仮想空間を、デジタルツインは現実を忠実に再現したモデルを指します。広義のメタバースに含まれる、狭義のデジタルツインといったイメージです。
このデジタルツイン技術 を使うことで、メタバースのビジネス活用は大きく飛躍しました。今後も通信技術の高速化やプラットフォーム開発などに後押しされ、さらに進歩し我々の身近なところに来るでしょう。

次回は 「ビジネスシーンにおけるメタバース」 について見てまいります。(ぜひ第2回もご覧ください)

注釈

※1 2003年、アメリカのLinden Lab社は、メタバースの草分けとなる 「Second Life」 サービスを開始しました。しかし当時のネットワーク技術では十分なパフォーマンスが発揮されず、人気に火が付くことはありませんでした。
※2 バーチャル秋葉原 https://www.virtual-akihabara.com/
※3 凸版印刷、メタバース上に美術館を構築する「MiraVerse®ミュージアム」を開発https://www.toppan.co.jp/news/2022/06/newsrelease220616_1.html

第2回「ビジネスシーンにおけるメタバース」

1月25日掲載の第2回では「ビジネスシーンにおけるメタバース」として、デジタルツインで再現される現場を中心にメタバースを見てまいります。

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