気流解析技術でレストラン店舗の改善設計

シミュレーション駆使した「機能建築」で問題解決

温度分布を色で表す店舗全体の気流解析画像

客席の気流解析画像

数値流体力学を建築設備に応用し省エネ化

情報技術の発達により、数値流体力学(Computer Fluid Dynamics: CFD)といわれる計算機を用いたシミュレーションが気軽に、安価に利用できるようになりました。しかし、シミュレーションには普遍的な手法が確立されておらず、計算モデルの選択や境界条件の設定には計算結果を正しく評価し空調設計に応用できる技術力と経験が必要とされます。当社建築部では、数年前よりCFDソフトウェアを導入し、建築および建築設備分野を中心に、建物の省エネルギー化、クリーンルームの設計、不具合の解析、室内環境の改善といった事例に利用してきました。

気流解析で店舗設計の改善案を検討

当社ではイタリアンレストランチェーンのA様に向け、レストラン店舗の省エネルギー化、客席および厨房エリアの環境改善をテーマに、CFDを利用した空調設計を実施しました。既存店舗の問題点を解析、改善案を何通りもシミュレーションし、最適な空調設計を提案しました。シミュレーションの概要は以下の通りです。


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客席エリア・・・既存店舗の空調設計を解析し、冷暖房のムラを把握。空調機や換気口の配置、個数、風量を見直し、温度ムラを解消しつつ空調機の台数を削減。店舗全体の気流とエアーカーテンの気流を解析し、喫煙・禁煙エリアを分離しました(受動喫煙の防止)。

A厨房エリア・・・酷暑となるオーブン前の環境を改善するため、空調された客席からの気流を厨房エリアに一旦取り込んで排気する案を提案。また、排気フードの形状や風速を何パターンもシミュレーションし、最適なパラメーター(形状、サイズ、風速)を把握。評価が難しい厨房機器の発熱は、ラボキッチンでの実測結果をモデルに反映させました。

実店舗に設計案を採用、改善効果が実証

シミュレーションにより得た設計案がA社にて採用となりました。これは2012年7月にオープンした新店舗で、1階が駐車場、2階が客先と厨房、スタッフ用バックヤードからなっています。試運転時に実測を行い、シミュレーションモデルが十分な精度であることが確認できました。特に厨房エリアの環境改善の効果は顕著で、また店舗全体としても15~25%の省エネ化を見込める結果となりました。

店舗の設計はパターン化されるため、本結果は今後の店舗の新設や改修にも応用可能です。現在、建築部では「機能建築」をテーマに新規技術の活用に取り組んでおり、今後もシミュレーションをはじめ情報技術を積極的に取り入れ、新規設計への応用に推進していきます。

厨房の気流解析画像