技術コラム

製造デジタル化ソリューション

ICT技術を用いたスマートファクトリー化とベストプラクティスコントロール

品質不良の原因推定・対策に困難が生じていたアナログな現場の課題

ひとつの製品を製造するのに、いくつかの工場の手を経ることは珍しいことではありません。
それらの工場は、一見システマティックなようでいて、実は非常にアナログな部分も数多くあります。
今回のプロジェクトはデジタル化を目指すことを目的としました。
比較的大きく、立地の異なる工場だったために、ICT技術の活用は不可欠と考えたからです。
そこで、現場ではどんなことでお困りになっているのかを事前にヒアリングすることから始めました。
その中でクレームの原因の追究に即座に対応できていないというアナログな体質が浮かび上がってきました。
その要因は、製造工程で収集するさまざまなデータに齟齬があり、基軸の単位が上流と下流とで違っていたり、集計するデータの媒体や在り処が統一されていなかったりしたことで、解析に膨大な時間を要していたのです。
問題が起きてから原因を突き止めるのではなく、先取り型の品質改善に転換するのに、やはりICT技術は欠かせません。
そこで、上流から下流まで全てをつないだリアルタイムでの品質・運転制御システムの構築を目指すことになりました。

正確で迅速なトレーサビリティを実現したスマートファクトリー

まず、必要なデータとそうでないものの洗い出しに取りかかりました。
それまで、お客さまからのクレームがあって初めてデータを揃えて深掘りしていき、原因を究明して改善するというのが一連の流れでした。

ところが、そこで吸い上げていたデータは、紙媒体も電子媒体もあり、あるいは上流と下流とでは、使用している単位の数量がまるで揃っていないという問題点もありました。

そのため、データクレンジングに3週間もの時間を必要としていたのです。
今回は、立地の異なる大きな工場だったにも関わらず、データの洗い出しには3ヶ月、構築には約1年という短期間の中で取り組みました。
それぞれのデータは、エクセルで作成したものだったり、紙のものだったり、すでに構築されていた既存のシステムのものだったりとバラバラでしたが、蓄積されていた貴重な過去のデータを活かさなければ意味がありませんので、それらを吸い上げて連携させるようにしました。

これは、遠隔地にある関連工場との連携も意識しています。こうすることで、正確で迅速なトレーサビリティを実現できました。本システムを導入したことで、3週間かかっていたデータクレンジングがわずか10~20分で行えるようになりました。


製造ビックデータ解析ソリューションVectorScope®を用いたベストプラクティスコントロール

VectorScope®の応用として、製薬業界向けに、原料状態を含めた工程毎に可視化した状態の組み合わせパターンを整理するという独自手法を提供しております。
これにより各工程での状態の組合せパターンごとに複数品質項目を総合的に評価できるようになりました。
また、ベクタースコープを装備した高度な生産システムも提案しております。
まず、お客さまにて蓄積された製造実績からオフラインにてベストプラクティスを把握します。
次に現在製造中の製造状態をオンラインにてモニタリングするとともに、ベストプラクティスの状態を維持するように製造をコントロールしていくというものです。
この「ベストプラクティスコントロール」という新しいアプローチ手法を数社のお客さまに適用して実績を積んできております。


Fig.1 製造状態組合せパターンと品質との関係イメージ*特許出願済み

Fig.2製造状態可視化により環境変化に順応する高度生産システム

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