技術コラム

気流解析技術でレストラン店舗の改善設計

シミュレーションを駆使した「機能建築」で問題解決

当社では、数値流体力学( Computational Fluid Dynamics )を用いたシミュレーションを、省エネルギー化・クリーンルームの設計・不具合の解析や解消・室内環境の改善などの事例に活用しています。

この技術は、食品工場や植物工場・庫内温度調整を伴う倉庫や物流施設など、多種多様な工場や設備の設計で実績があります。温度・気流・作業環境・清浄度など様々な条件の維持改善に活用されており、ゾーニングや陽圧管理と組み合わせれば製品の品質管理やコスト削減にも力を発揮します。

気流解析による最適な店舗設計

イタリアンレストランチェーン様に向け、店舗の省エネルギー化と客席 / 厨房エリアの環境改善をテーマに、CFDを利用した空調設計の事例です。

① 客席エリア


既存店舗の空調を解析したところ、冷暖房のムラが確認されました。そこで空調機や換気口の配置・個数・風量を改善し、温度ムラを解消しつつ空調機の台数を削減しました。さらに店舗の全体気流とエアーカーテン気流を解析し、空気の滞留も改善しました。

温度分布を色で表した店舗全体の気流解析画像

② 厨房エリア


評価が難しい厨房機器の発熱は、ラボキッチンによる実測結果をモデルに反映させました。課題であったオーブン前の酷暑環境の改善には、空調された客席の気流を厨房エリアにいったん取り込んだ後に排気することで解決しました。また排気フードの形状や風速もシミュレーションし、最適なパラメーター(形状・サイズ・風速)で設計しました。

客席エリアの気流解析画像

厨房エリアの気流解析画像



本案件では厨房環境の改善効果が顕著で、店舗全体で15~25%の省エネ化を見込むことができました。こちらの新店舗は、1階が駐車場、2階が客席と厨房、さらにスタッフ用のバックヤードで構成されています。チェーン店舗の構成や設計はパターン化できるため、今後の店舗新設や改修にも本結果は応用が可能です。

当社では「機能建築」をテーマに新技術の活用に取り組んでおり、今後もシミュレーションや多様な解析技術を積極的に取り入れ応用してまいります。

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